お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

　こういう場合、グレゴールと色合いを合わせるものなのだが、どうすればいいのだろう。一応、エリサに聞きに行ってもらったけれど、グレゴールからは返事はもらえなかった。

　そこで、グレゴールの侍従と「ちょっとお話」をして、エリサが聞きだしたのは、グレゴールは青を身に着けるという話。

　文句を言われたら「偶然です」と返すことにして、青のドレスを身に着ける。

　ドレスにあしらわれているのは、アードラム帝国で作られているレースだ。大変貴重な品で、なかなか手に入るものではない。帝国の皇帝が訪れるのだから、相手の国を大切にしているのだと見せておく必要がある。

（ダミオンも、頑張ってはくれたのよね……）

　しゅんとしているだけではなく、できる男であるとオリヴィアに見せなければという気になったらしいダミオンは、ウィナー商会の伝手を駆使し、最高品質のレースを手に入れてくれた。

　ドレスに合わせるのは、銀とサファイアの一揃い。

「うん、悪くないわね」

　侍女達の腕に満足して立ち上がる。グレゴールと、会話をする機会を作れればよいのだが。