お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「エリサ、あなた散歩場所の選定間違えたのではない?」

 今日は、こちらに散歩に行こうと言い出したのはエリサだ。だが、ヴェロニカと鉢合わせするのでは意味がないではないか。

「いえ、そんなことはございませんよ? ああ、ちょっとこちらにそれましょう」

「ちょっと、マリカ!」

 まだ、彼らはこちらには気づいていないようだ。

 マリカに目立たない場所に押し込まれる。そうしながら彼らの様子をうかがっていたら、ヴェロニカは騎士の腕に絡みつき、なにやら声をかけている。

 声をかけられた方はまんざらでもない様子でヴェロニカに返していたが、問題は彼のもう片方の腕だ。

 こちらに向けられているのはヴェロニカの背中。その背中を彼の手が這い回っている――それは、どう見ても護衛が護衛対象にするものではなかった。

「……どういうこと?」

「あの男、愛人です」

 王の愛人であるヴェロニカの愛人があの騎士ということか。まだ十五の王が治めている割に、王宮内、乱れすぎではないか。

「あんなもの見ていても楽しくないわ。場所を変えましょう」

「あと二分、あと二分だけお願いします!」

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