お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 エリサがオリヴィアを拝み始めた。あと二分って他人のいちゃいちゃを見ていて楽しいのだろうか。

 かまっていられない、と立ち去ろうとした時。

「ヴェロニカ! なにをしている!」

 グレゴールの怒声が響いた。慌てた様子でヴェロニカは騎士から身を離すがもう遅い。

「お、俺というものがありながら! その者と口づけをしているとはどういう了見だ!」

「陛下、それは陛下の見間違い――彼は、私の目に入ったごみを取ってくれようと」

「俺に逆らうのか? 報告は受けている――お前とはこれで終わりだ!」

 陛下、と呼びかけるヴェロニカを無視し、グレゴールは足音も荒く歩き去った。慌ててヴェロニカもあとを追い、一瞬戸惑った護衛が続く。

「どういうこと?」

「大変でしたー。あの男をこの場に導くのは」

 エリサはえへんと胸を張った。

「あれ、あなたの仕業だったの?」

「ええ、あの女が護衛といちゃついてるって話は聞きましたからね」

 いなくなっても問題がない、素行の悪い騎士ばかりヴェロニカの護衛につかせたとダンメルス侯爵は言っていた。

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