お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 エリサは、ヴェロニカと護衛が恋愛関係にあるとグレゴールに密告したそうだ。もちろん、密告してきたのがエリサとはわからない形で。

 そして、今日、この場でふたりが逢引するということもグレゴールに教えてやったそうだ。

(侯爵の作戦勝ちかもね)

 素行の悪い騎士でなければ、王の愛人に手を出そうとは思わない。見目麗しい男性というだけではなく、素行の悪い騎士をあてがうあたり、やはりやり手だ。

「あの女がいなくなれば、オリヴィア様に対する態度も変わるかもしれませんからね」

「それはどうかしら」

 オリヴィアは苦笑した。

 グレゴールは、オリヴィアに対して悪印象しか持っていない。それを巻き返すのは、きっと難しい――やるしかないとわかっているけれど。

「散歩はこのあたりにして、支度に戻りましょうか」

 グレゴールがヴェロニカの裏切りを知る現場を見られたのはよかったかもしれない。少なくとも、心の準備はできる。

 夜会のために用意したのは、鮮やかな朱色のドレス。

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