お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「あの方、離宮でお暮らしなのでしょう?」

「どうしても王妃になりたいからって、強引に結婚に持ち込んだらしいわ」

「図々しいわね。他国からこの国に来たくせに」

 ひそひそとささやき合う声。

 いや、彼女達にはささやいているという意識はないのだろう。オリヴィアの耳にわざと入れようとしている。

「それにしたって、あの宝石はすごいな」

「王妃の予算は、すべて使い果たしているらしいぞ」

 と、今度はオリヴィアが身に着けている宝石の値踏みを始める。

 王妃の予算は使いきってはいるが、半分は侍女長への賄賂である。残り半分については、オリヴィアの手元に残したまま。使いきってはいない。

(そもそも、実家から持参した品なのだけれど)

 母は、オリヴィアにたくさんの宝石を譲ってくれた。

 イリアーヌ王国の王女だった母の持ち物だ。なかなかお目にかかれないような素晴らしい品が多数含まれているのは当然だ。

「王妃様、一曲お相手を願えませんか?」

「ご親切な方、よろしくてよ」

 グレゴールには見向きもされないけれど、オリヴィアは背筋を丸めたりしない。

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