お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 隣国の皇帝をもてなしている最中だというのに、愛人を堂々と侍らせているグレゴールには頭を抱えてしまった。

 今日見かけてしまったヴェロニカに対する対応も。

(ダンメルス侯爵は、ふたりとも追放ですませるとは言っていたけれど)

 夜会の前に慌ただしくダンメルス侯爵と話をした。ヴェロニカも相手の騎士も王宮からの追放ですませるそうだ。さすがに、死刑となるのは気が重いし、適切な罰だろう。

「この国は、私の手には余るわ……覚悟してきたつもりだったけれど、甘かったかしら」

「ポポッ」

「そうね。誠意を尽くせばわかってくれる……そう思いたいけれど」

 国を離れるまで、オリヴィアは大切に守られすぎていたのかもしれない。

 最初から明確に拒絶の姿勢を見せる相手にどう対応したものか悩ましい。

 鳩は甘えるようにオリヴィアの手の下に身体を潜り込ませてくる。柔らかくて温かな感触。

「もう少し、あがいてみるわ」

 ルークへの返事を持たせることはできないけれど。きっと、ルークはこれからもこうやって鳩を飛ばすのだろう。そんな気がした。



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