お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「二年で離婚を申し出ずに、三年待ったわ。でも、陛下は私には見向きもしない。だったら、陛下を解放して差し上げてはどうかしら。そろそろ実家にも帰りたいし」

 エーリッヒは、帝国の貴族令嬢を妻に迎えたそうだ。

 オリヴィアは、兄嫁に挨拶をすることすらできなかった。この離宮に、閉じ込められていたから――いや、閉じ込められてはおらず、自由に出入りはしているがさすがに実家まで出かけるのは無理だった。

「……さようでございますか。この三年、陛下には何度もお話をさせていただいたのですが、わかっていただけなかったようです」

 この三年、彼がどれだけ苦労してきたかオリヴィアは知っている。

 グレゴールとオリヴィアのために茶会を開き、仲を取り持とうという努力もしてくれた。グレゴールはそれが気に入らなかったらしく、後日侯爵はたいそう叱られたらしい。

 ヴェロニカのようにグレゴールを思い通りに操ろうとする愛人が出た場合には、すぐに手を切らせることもしてくれた。

 この国がぎりぎりのところで持ちこたえているのは、侯爵の手腕によるところが大きい。

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