お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 手を差し伸べるけれど、鳩はオリヴィアの膝の上で向きを変えた。エリサの言葉がわかっているみたいだ。

「飼い主そっくり」

 と、マリカは笑う。鳩がむくれたような顔をするから、オリヴィアもおかしくなってきた。

「仲間に入りたいのかしらね。ほら、少し食べる?」

 少しぐらいなら、パンも大丈夫だろうか。鳩にちぎったパンの欠片を差し出す。パクッとくちばしで上手に挟むと飲み込んだ。

「おいしそうに食べるわね」
「ポポッ」

 また鳴いて、嘴を開く。オリヴィアがパンを差し出す。鳩が食べる。その小さな体にどれだけ入るのだろうというぐらい鳩はよく食べた。

「そうよね。明日には、またたくさん飛ばないといけないんだもの。今のうちにたくさん食べておきなさい」

 ルークに返事は書けないかわりみたいに、鳩にたくさん食べさせる。満腹になったらしい鳩がオリヴィアの肩に移動する頃には、オリヴィアの気分も完全に元に戻っていた。


 翌朝。いつものように早朝に鳩は飛び立っていった。オリヴィアはそれを見送り、いつもの生活に戻る。

「おい、オリヴィア!」

< 162 / 306 >

この作品をシェア

pagetop