お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

「ええ。怪我をしているのなら、治してあげないとね」

「もう治らないと思うんです。飛べるようになっただけいいかなって」

　なんて子供じみた振る舞いをしながらも、エリサは一度退室した。戻ってきた時には、鳩の入った籠を大切に抱えている。

「エリサ、まだ自由にしていなかったの？　オリヴィア様、申し訳ございません」

　エリサの発言に合わせるように、マリカが頭を下げた。こちらは、「妹を思いやる姉」の演技のようだ。

「いえ……エリサが心細いのもわかるわ。言ってくれれば、許可ぐらいあげたのに」

　ルークの鳩は、たしかに今朝飛び去ったはずなのにと疑問を覚えながらも、マリカの演技に合わせる。このぐらいはお手の物だ。

「まあ、可哀そうに。本当だわ。羽根を傷めているのね……ええ、これでは普通なら治らないでしょうね。私に任せてくれる？」

　こくり、とエリサはうなずいた。ケイトは、そっと手を伸ばす。

　鳩は警戒する様子もなく、ケイトの手に飛び乗った。ケイトは怪我をした部分を包み込むように両手を合わせる。

（……これは……！）