お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 嫁いで五年。ほぼ離宮で暮らしていた王妃。

 魔獣討伐の場で彼女の姿が見られるようになったのは、ここ数年のこと。

 オリヴィアのことをあざけっていた女性達は、彼女のまとうドレスの素晴らしさに言葉を失っている様子だった。

 やがて、今日の主賓がゆっくりとやってくる。黒い髪と黒い目に合わせた黒い正装が、長身の彼をより堂々と見せていた。

 ルーカス・オラヴェリア。隣国であるアードラム帝国の皇太子である。

彼は、誰もが予想していなかっただろう言葉を口にした。

「我が最愛の婚約者、オリヴィア・ウェーゼルクを返してもらいたい!」

 今日、決着をつけるとは言っていたけれど、まさかここから始めるとは。

 焦った様子のグレゴールに、オリヴィアは薄い笑みを向けた。

 さあ、己の罪を、この場で認めなければならない状況にまで追い込まれてしまえ。

 陛下、離婚いたしましょう。最初から、私達の結婚は、成立していなかったのだから。
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