お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
(それに、ルークに会えるかもしれないし)

 ブロイラード伯爵家に援軍の依頼を出しているわけではない。けれど、オリヴィアが魔獣討伐に向かうと、傭兵達の中にルークを見かけることが多いのだ。

 ブロイラード伯爵家の三男として来ているのならやめさせるのだけれど、ただの傭兵としてこの国に来ているので文句は言えない。

 オリヴィアも『ヴィー』という偽名を使って、侍女達とともに傭兵として潜り込んでいる。

(――ただ、目を合わせることしかできないことも多いけれど)

 必要以上に接触しないよう心掛けているため、互いに目礼して終わりということもある。それでも、姿を見ることができるのとできないのとでは大違いだ。

「じゃあ、いつもの通りに支度をして出かけるわよ」

 オリヴィアの指示に、ふたりの侍女はピシッと背筋を伸ばした。

 あとのことは侍女長に任せて、離宮を出る。

侍女長は、侍女達の飴と鞭でしっかりと飼いならされていた。オリヴィア達が留守にしていても他の人に気づかれていないのは、侍女長がうまく立ち回っているからである。



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