お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

　魔獣が出没している場所に到着すると、そこにはたくさんの兵士達が集まっていた。兵士達をまとめている隊長が声をかけてくる。

「ヴィー、来てくれたのか」

「ええ。依頼を受けているから――今回も、遠慮なくやらせてもらうわね」

　依頼主はダンメルス侯爵である。依頼の内容は魔獣討伐の際、兵士達に戦い方を教えること。

　今までに三回、同じような依頼を引き受けてきた。

　今まで魔獣と対峙することの少なかったストラナ王国の兵士達は、最初は魔獣と向き合うことすらできなかったけれど、オリヴィアが先頭に立つことで、兵士達も奮い立った。今では、オリヴィア抜きでもある程度対応することができるようになっている。

「よっ」

「……どうも」

　やっぱりルークがいた。こちらに片手を上げて気楽に挨拶をしてくるので、オリヴィアも軽く頭を下げて返す。

　黒い革鎧に身を包み、大きな剣をつるしている。オリヴィアに手を上げた様子は、どこからどう見ても傭兵である。

　彼と比較すると、オリヴィアはどうしても物腰に貴族らしさが出てしまうらしい。