お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 多少盛られた話であっても、兵士達にとっては王宮にこもりきりで出てこないケイトより、彼らの側で共に戦うオリヴィアの方が近い相手。

「オリヴィア様は、ここに来るまでにどれだけの犠牲を払われたのか……それも、皆さんと共にありたいというオリヴィア様の御心なのですよ」

 なにを話しているのか、こっそり近づいてみたら、涙ながらにそう語っている現場に行き合わせてしまった。

(まさか、そこまでとは思っていなかったわよね……)

 犠牲を払った、は大げさではあるが嘘はついていない。こうして、噂は広まっていく。聖女のようだと言われるのはくすぐったいけれど。

 そして、ケイトがそれを耳にしたら、心中穏やかではいられないだろう。彼女が戦場に出てきて、兵士達の治療に尽力するならそれでよし。尽力しないのならば、こちらも別の手を打つだけだ。どちらに転んでも大丈夫。

「それにしても……落ち着かないわね」

 昨日までは、とある領地に出た魔獣を討伐していた。今日は、隣の領地に移動だ。そこに出没した魔獣を討伐しなくてはならない。

「もし、よろしければこちらのお茶をためしてみてはいかがでしょうか」

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