お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 マリカはシェルトについて隣の天幕だし、エリサは噂をばらまきに行っている。オリヴィアに声をかけてきたのは、神殿からやってきた回復魔術師だった。

「そのお茶は?」

「我々が愛飲しているものです。いくつかの薬草を組み合わせたもので、ゆっくり煮出すことで、疲労回復効果を持つ薬草茶になるのです」

「……それはいいわね。お願いしてもいいかしら」

「はい。王妃陛下のお口に合うかどうかはわかりませんが……ちょうど、いれようとしていたところですし」

 回復魔術師は、オリヴィアを残してテントを出ていく。好奇心にかられて、オリヴィアもあとを追いかけた。

 小さな鍋に水を入れ、夕食の準備のために用意されている火を借りて湯を沸かし始める。

「これは、どのぐらい煮出すものなの?」

「数分ですね。さほど時間はかかりません」

 やがて湯が沸いたところで、薬草茶をひと掴みいれる。いったん静かになった湯が、再びぐらぐらし始めたところでもうひと掴み。

「なぜ、二回に分けたの?」

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