お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 浴室に湯を張ったエリサが戻ってきながら口にする。この噂の発生源は、マリカとエリサである。

 オリヴィアの侍女として魔獣討伐の場に同行した彼女達は、「傭兵ヴィーとその仲間」として知り合った傭兵を見かけるなり、「王妃の侍女」として声をかけて回った。

 なぜ、傭兵のふりをしていたのかと驚く彼らに、「オリヴィア様とシェルト殿下は、この国の惨状に胸を痛めているのだ」と、ささやいたのである。

 これが実にいい働きをした。

 自分が魔獣討伐に参加できない間は、オリヴィアに頼んで援軍を派遣し、出られるようになったらすぐ魔獣討伐に参加した。

 そこに母の罪を償うためという理由があったとしても、十五の少年がけなげに最前線に出ていたら、現場に居合わせた者達はシェルトを守らねばという気にもなろうものだ。

 まだ若輩ながら魔獣相手にひるむことなく戦い続けたシェルトの姿。オリヴィアへ助力を頼んだということもあり、多くの兵が無事に戻ることができたのはシェルトのおかげだということになっている。

「それも、あなたたちのおかげよね。本当に、上手に噂を流してくれたもの」

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