お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「私とエリサは、そちらが本業ですからね」

 嘘は言っていない。たしかにシェルトは最前線に出て戦った。

 オリヴィアがすぐ側にいて、護衛を兼ねた侍女達だけではなくルークの用意した護衛にもしっかり守られていたが自ら剣を手にしたのは事実。

 魔獣をたくさん葬ったのも本当のことだけれど、討伐数はオリヴィアや侍女達が退治した一部をちょっぴり上乗せしてあるのは秘密だ。嘘にならない程度に、シェルトの手柄は大きくなって広められていく。

 話を盛った分、民の間に広まるのは早かった。そして、対照的に、王宮に引っ込んだままのグレゴールの評判は下がりに下がっている。

 さすがにグレゴールを退位させてシェルトを王にしようという動きにはなっていないが、あと数年もすればそんな声が出てきてもおかしくはない。

 近いうちに、ルークが最高の舞台を用意してくれることだろう。

 

 グレゴールからオリヴィアへ公式行事への参加を求める使いが来たのは、オリヴィアが戻ってきて二週間後のことだった。

「図々しくありません?」

 使いから手紙を受け取ったエリサは、半眼でその手紙を睨みつけた。

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