お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「おふたりの結婚式の時には、お祝いに行きますね」

「ええ。招待状を出しますね。それと、もうひとりの弟をよろしくお願いいたします。陛下の側近として役立ててくださいませ」
「オリヴィアお義姉様の弟ですからね。きっと頼りになるでしょう」

 さみしさを振り払うようにシェルトは笑みを作った。

 実弟のアントンは、シェルトの側近としてこの国に来ることになった。シェルトが曲がった方向に行かないよう、監視も兼ねているらしいが、きっと二人はうまくやっていける。

 シェルトの側近となるだけでなく、護衛を兼ね、この国の若い貴族達の中から将来の側近を育てていくのだという。

 どうか、この国の未来が明るいものでありますように。そう願わずにはいられない。

「異母兄上とも、もっとお話をしたかったのですが」

 シェルトがしょんぼりとした表情になったのは、グレゴールとは話もできないままだからだ。血の繋がった兄はグレゴールただひとり。思うところはいろいろとあるのだろう。

「いずれわかってくれるといいが――どうだろうな」

「難しいでしょうね」

< 273 / 306 >

この作品をシェア

pagetop