お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 もっとも、最初にグレゴールを推したことを悔やんでいること、シェルトにくみすることになったのはグレゴールに対する裏切りであることから、要職にとどまるのは最長でもあと五年。国が安定したら引退すると決めているらしい。

(ダンメルス侯爵は、この国のことをとても心配していたけれど――)

侯爵は、ある意味、公正であろうとした人だった。彼が表舞台から去るのはこの国にとって大きな損失であろうけれど、いつまでも彼に頼っていられないのも事実である。

 五年の間に、シェルトはこの国をまとめ上げねばならない。それはこれからのシェルトに与えられた課題だ。

「神殿と言えば、ケイトはどうしているんだ?」

「ああ、あの方でしたら」

 たぐいまれな回復魔術や、結界魔術を行使することから「聖女」と呼ばれるようになったケイトであるけれど、彼女はその能力を私利私欲のためにしか使わなかった。

 彼女にとっては自分の才能を生かしただけだったのだろうけれど、それならば神殿と癒着し、聖女という称号を得るべきではなかった。

「あの方も、国庫から横領していましたからね。今は、新しくなった神殿で頑張っているところです」
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