お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】

 ケイトは神殿預かり。

 大きな改革の手が入った神殿は、本来の役割を取り戻しつつある。ケイトは神殿で、必要な人に必要なだけの回復魔術をほぼ無償でかけているそうだ。

 贅沢を知ってしまった彼女が今、それをどう思っているのか気にならないと言えば嘘になるけれど、それもまたオリヴィアの感知するところではない。

 この国は、この国なりの道を歩いていかなければならないのだから。

「お元気で、お義姉様。再会を楽しみにしています」

「殿下も。殿下の進む未来が明るいものでありますように」

「シェルトならできるさ。困ったことがあったら、いつでも呼べ。すぐに駆けつけてやるから」

 ルーカスは、シェルトが可愛くてしかたがないらしい。今もぐりぐりと彼の頭を撫でまわしている。シェルトの方もまんざらではなさそうだ。

 アードラム帝国とストラナ王国。それぞれ次の代になったとしても、きっと両国の良好な仲は続いていくのだろう。そこにイリアーヌ王国も加わることとなる。

 未来は明るい――オリヴィアはこの時、そう確信していた。

 

 * * *

 

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