お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 丁寧に出迎えてくれた神官と、婚約式の打ち合わせをする。

 できるだけ早い時期に小規模で行いたいというふたりの要望に、神官は真摯な顔をして付き合ってくれた。

「たしかに事情が事情ですから、あまり大々的に行わない方がよろしいかもしれませんね。我々としては、殿下の婚約式を盛大に執り行いたかったのですが」

「その分、結婚式は華やかにしよう」

「それはそれは、楽しみにしております」

 神官長とルークが打ち合わせをするのを、オリヴィアは横で聞いていた。今のところ、オリヴィアが口を挟まなければならないような事態は起きていない。

「そうそう、皇太子妃となられる方は、前日こちらに参拝していただく必要があるのですが」

「存じております。前日に祈りを捧げなければならないのですよね?」

 これは、この国独自の風習らしい。

 皇帝一族に嫁ぐのでも、庶民に嫁ぐのでも、女性は婚約式の前日に神殿で祈りを捧げる決まりだそうだ。今まで育ててくれた両親への感謝を捧げ、新しい絆を大切にすると誓うという。

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