お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 男性の側は、結婚式の前日に同じように祈りを捧げるそうだ。こちらの場合も同じように両親に祈りを捧げ、良縁に感謝するのだという。

「こちらの風習もよくご存じなのですね」

「学びましたから」

 ルークと暮らす以上、この国の慣習を無視するわけにはいかない。

シェルトの名声を高めるために魔獣討伐で飛び回っていた夏の間も、隙間時間を見つけては、この国について学んできたのだ。必要最低限ぐらいのことは身についているはずだ。

「神官長、殿下、よろしいでしょうか? ただいま、地方から報告が入りました」

 若い神官が、なにやら書類のようなものを持って入ってきた。

「よろしければ、お庭を案内させていただきたいのですが。神に捧げる花を育てていますから、この神殿の花畑はなかなか素晴らしいのですよ」

「見てきてはどうだ? こちらは少し時間がかかりそうだ」

 ルークが厳しい顔をしているのを見て、オリヴィアは悟った。たぶん、オリヴィアに聞かせるのはまだ早い報告なのだろう。

「私は、お庭を拝見して待っていますね」

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