お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 髪は緩やかに巻いて一部だけ結い上げている。そこに挿されたのは、金と黒玉を使った髪飾り。どうにもこうにも独占欲を主張したいらしい。

 とはいえ、ルークの色をまとうのは、オリヴィアにとっても念願である。

彼がオリヴィアを独占したいと思ってくれているのであれば悪い気はしない。悪い気はしないどころか、嬉しい。

「そうだな、俺の色だ」

 今だって、ルークの瞳に浮かぶのは独占欲。それを心地いいと感じてしまうのだからオリヴィアも対外なのだろう。

 彼のキスが、ふっと唇をかすめてオリヴィアは笑った。

 こんな風に不意落ちでキスをされるのは何度目なのだろう。すでに数えることはできないし、きっと、これから先何度も同じように口づけられるのだろう。

「私達、幸せになるわね」

「もちろんだとも」

 心置きなく、ルークと見つめ合うことができる。

 諦めなければ、人生はいい方向に向かうのだと、絶望していた十五の少女に教えてあげたい。

 あの時、切れてしまったと思っていた縁は、途切れることなく続いていたのだ、と。

「どうした?」

「ううん、一年が長く感じられそうと思って」

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