お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 オリヴィアは強いから、いや、強くあろうとするから、弱音を吐くことはしないだろう。だが、助けが必要ならばいつでも手を差し伸べることができるようになっていたい。

「まあ、その方が安心か……我が家は、オリヴィアと直接やりとりをするのは立場上難しいだろうけど、ルークは関係ないもんな。あっちも、我が家の使い魔は確認するだろうけど、ルークの使い魔なら盲点だろうし……じゃあ、俺が教えてやるのが一番いいのかな」

 とりあえず許可は出たらしい。けれど、ルークにはエーリッヒにも言えていないことがあった。

(――使役魔術の中には、使い魔と感覚を共有できるものがある)

 もし、その域まで達することができたなら、オリヴィアの様子を自分の目で確認することもできるだろう。

 彼女が幸せなら、それでいい――けれど、もしも不幸だったなら。

 幸せであってほしいけれど、不幸だった時のことも頭に入れておかなければならないとは、不思議な状況だ。

 今、ルークにできることなんてほとんど残されていなかった。
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