お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
オリヴィアの向かい側に座っている侍女姉妹は、物騒なことを口走っている。彼女達のやる気は買いたいところだが、あまりにも物騒すぎる。
「そんな喧嘩腰ではだめよ。家族になるのだから――もしかしたら、グレゴール陛下のために動いてもらうことになるのかもしれないし、ね」
「オリヴィア様は優しすぎます……」
嫁いだあとは、グレゴールの身を守るためになんでもしなければならないだろう。自分の持てる力はすべて注ぐつもりだし、必要とあらば侍女達にだって動いてもらう。
(……これは、私にしかできない仕事だものね)
両国の平和の懸け橋になる。辺境伯家に生まれた者として、隣国に骨をうずめる覚悟をしなくては。
ふとした瞬間に、よみがえろうとするルークへの気持ちは、懸命に押さえつける。もう少し時間がたてば、完璧に封じ込めることができるはず。
今はまだ、少しばかり難しいけれど。
ストラナ王国との国境までは五日ほどの時間がかかるから、両親は辺境伯家で一番いい馬車を譲ってくれた。そこから首都まではさらに三日ほど。おまけに、嫁いだ翌日には結婚式らしい。
(……なるようになるでしょう)
「そんな喧嘩腰ではだめよ。家族になるのだから――もしかしたら、グレゴール陛下のために動いてもらうことになるのかもしれないし、ね」
「オリヴィア様は優しすぎます……」
嫁いだあとは、グレゴールの身を守るためになんでもしなければならないだろう。自分の持てる力はすべて注ぐつもりだし、必要とあらば侍女達にだって動いてもらう。
(……これは、私にしかできない仕事だものね)
両国の平和の懸け橋になる。辺境伯家に生まれた者として、隣国に骨をうずめる覚悟をしなくては。
ふとした瞬間に、よみがえろうとするルークへの気持ちは、懸命に押さえつける。もう少し時間がたてば、完璧に封じ込めることができるはず。
今はまだ、少しばかり難しいけれど。
ストラナ王国との国境までは五日ほどの時間がかかるから、両親は辺境伯家で一番いい馬車を譲ってくれた。そこから首都まではさらに三日ほど。おまけに、嫁いだ翌日には結婚式らしい。
(……なるようになるでしょう)