お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「なんと。それほどまでに我が国のことを――大変、ありがたく……」
そこまで感激されなければならないようなことを口走ったつもりもないのだが、ダンメルス侯爵の声が震える。
「申し訳ないのですが、こちらの馬車に移っていただけますでしょうか」
「こんな馬車にオリヴィア様を乗せるつもりなの?」
ダンメルス侯爵が示した馬車にいきり立ったのは、マリカであった。
ここまで辺境伯家で一番いい馬車に乗ってきたのであるが、あてがわれたのは貴人がお忍びの時に使うような地味な馬車。おそらく乗り心地もよくないだろう。
「申し訳ございません。ですが、シェルト殿下を次代の王にと望む者が、王妃陛下に害を加える可能性もございます。お荷物を運ぶ馬車とは別行動の方がよろしいでしょう」
オリヴィア達が乗ってきた馬車には、身代わりの女性騎士を乗せるという。オリヴィアを歓迎しない者がいるであろうことも容易に想像がつく。
「だからって、これはあんまりだわ!」
「――マリカ」
マリカの肩に手を置いて宥める。オリヴィアの静かな声音に、マリカは瞬時にしてしゅんとなった。
そこまで感激されなければならないようなことを口走ったつもりもないのだが、ダンメルス侯爵の声が震える。
「申し訳ないのですが、こちらの馬車に移っていただけますでしょうか」
「こんな馬車にオリヴィア様を乗せるつもりなの?」
ダンメルス侯爵が示した馬車にいきり立ったのは、マリカであった。
ここまで辺境伯家で一番いい馬車に乗ってきたのであるが、あてがわれたのは貴人がお忍びの時に使うような地味な馬車。おそらく乗り心地もよくないだろう。
「申し訳ございません。ですが、シェルト殿下を次代の王にと望む者が、王妃陛下に害を加える可能性もございます。お荷物を運ぶ馬車とは別行動の方がよろしいでしょう」
オリヴィア達が乗ってきた馬車には、身代わりの女性騎士を乗せるという。オリヴィアを歓迎しない者がいるであろうことも容易に想像がつく。
「だからって、これはあんまりだわ!」
「――マリカ」
マリカの肩に手を置いて宥める。オリヴィアの静かな声音に、マリカは瞬時にしてしゅんとなった。