お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「いえ、気にしないでください。どういう状況なのか、私も、彼女達も理解はしていますから」

その代わり、彼らを信じていないと言わんばかりの侍女達の行動も多めに見てもらいたいところだ。

(……これは、前途多難なようね)

 前王妃とシェルトを担ごうとする者達は一掃されたと聞いていたけれど、まだまだ国内に残っているようだ。

 

 * * *

 

(なんて方だ)

 ダンメルス侯爵は、文句も言わず乗り心地の悪い馬車に乗り換えたオリヴィアの姿に感銘を受けていた。

 グレゴールと同じ十五歳と聞いてはいたが、彼よりずっと大人びているように見える。女性は男性より早く成熟するものだが、それにしたって、あの落ち着きぶりはどうだ。

 最初に馬車から降りてきた時、まるで女神が姿を見せたのかと思った。

 自信に満ち溢れた優雅な物腰、華やかな美貌。自分の美貌を最大限に引き立てる装いもしっかり心得ていた。

(あの方が、陛下のお側にいてくれるのなら――)

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