お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 グレゴールの妃にオリヴィアを選んだのは、ダンメルスを筆頭とする一派だ。国内の貴族令嬢ではだめだ。いざという時、他国の後ろ盾を得られる姫でないと。

 辺境伯の娘というオリヴィアの身分に、グレゴールは不満を感じたようだった。自分ならば、どこの国の姫であろうと娶れるはずだ――と。

 もちろん、他国に姫と呼ばれる身分の者がいないわけではなかった。

 だが、彼女達の国はあまりにも遠く、平和な時ならばともかく、今の状況ではグレゴールの後ろ盾にはなれない。

 救援を求めている間に、グレゴールが命を落とすことになりかねないからだ。

(その点、あの方ならば完璧だ――あの侍女達も、かなりの使い手と見た)

 幼い頃から戦の場に立ってきたオリヴィアは、自分の身を守るだけではなくグレゴールの身も守ってくれるだろう。彼女の魔術の腕前については、十分に調べつくした。

 侍女をふたりしか連れてこなかったのが心配ではあるが、どちらも武芸の達人と物腰から判断できた。彼女達もいざという時の守り手として、計算に入れていいというのは幸いだった。

(なにがあっても、陛下だけはお守りしなくては)

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