お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 年若い王太子から王位を奪おうとした前王妃は、離宮に閉じ込めてある。

 処刑を願う者も多かったけれど、シェルトの母であることを考えればすぐに処刑するのも難しかった。

 そんなわけで、危険をはらみつつも、オリヴィアを迎え入れるしかなかったわけであるが――。

(あの方ならば、陛下もきっと心を奪われるだろう)

 グレゴールと同年代の美しい娘。きっと、彼もオリヴィアに夢中になる。

 オリヴィアの背後にあるイリアーヌ王国の後ろ盾を得て、グレゴールの治世は長く続くだろう。

 その時、侯爵はそう期待していた。自分のその判断があまりにも甘かったのだと、すぐに思い知らされることになるとも知らず。

 

 * * *

 

 ダンメルス侯爵達、出迎えの者と合流してから三日。今日は王都に到着となる。

 オリヴィアは、馬車の中から外を眺めていた。

(先代の王妃との間に争いが起こったと聞いていたけれど、その爪痕はもう完全に修復されているのかしら)

 それとも、王都までは戦火が及ばなかったのだろうか。

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