お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 明日には結婚式だというのに、案内されたのは客室。王妃の使う部屋ではなかった。

「まったく、失礼すぎませんか? オリヴィア様がわざわざ嫁いできたというのに」

 与えられた部屋に、最初に不満を口にしたのはエリサであった。

「とりあえず軽く殺っておきます?」

 いや、マリカの方が物騒だった。オリヴィアは手を振ってふたりを宥める。いつまでも、これが続くわけなんてない。

「ふたりともよく考えて。私はまだ結婚していないの。それならば、客室に通されて当然でしょう? すぐに移動することになるのだから、荷物は必要なものだけ出してちょうだい」

「かしこまりました」

 あっという間に気持ちを切り替えるあたり、ふたりともできた侍女である。

 部屋はきちんと清掃され、寝具も新しいものに取り換えられているようだ。部屋のあちこちに花が飾られていて、オリヴィアを歓迎しようという気持ちが伝わってくる。

(できる限り、私によくしてくださろうとしているってことよね)

 物事は、いい方向にとらえた方がいい。その方が気楽だ。

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