お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

　その日は、出された夕食をぺろりと平らげ、新しい寝具の用意されたベッドでぐっすりと眠った。目が覚めたら、夫となる人に会えることを期待して。



　翌日は、早朝から身支度に取りかかる。

「天気がよくてよかったわね。雨が降っていたら、重苦しい気持ちになったかもしれないもの」

「そうですね。最高に美しい花嫁様になられますとも」

　オリヴィアの髪をくしけずりながら、エリサはつぶやいた。ルークとの結婚を心待ちにしていたのは、エリサも同じ。

　ルークともそれなりに親しく会話する仲であったから、エリサはいまだに相手がルークであったならと思っているのかもしれない。

「オリヴィア様、ダイヤモンドがよろしいですか？　それとも、真珠になさいますか？」

　国を出発する時持たされた宝石箱をマリカが運んでくる。中から取り出されたのは、様々な宝石達。

「ダイヤモンドにしましょう。キラキラして美しいと思うの」

　結婚式当日、花嫁衣裳に合わせる宝石類についてはなにを使うのかまだ決めかねていた。

　今日の空は、青くてとても美しい。

　ならば、母から譲り受けた宝石を最高に煌めかせようではないか。