お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 婚姻証明書に署名したのだから、ここで口づけなくてもふたりの結婚は成立しているわけだけれど。

(……なんてこと)

 どうやら、グレゴールはとことんオリヴィアをコケにするつもりらしい。

 これからゆっくり、グレゴールの心を解いていかなければならないのだ。オリヴィアは、密かにため息をついた。彼が相手で、大丈夫だろうか。

 結婚式が終わると、国内の貴族達を集めての宴である。

 本来ならば、国王夫妻がダンスを披露する場でもあったのだけれど、グレゴールが足を痛めているという理由で、それは後日に持ち越されることとなった。

(あの方、足を怪我しているって本当なのかしら?)

 挙式の場では、すたすた歩いているようにしか見えなかったのだが。

 披露宴用に選んだのは、爽やかな緑のドレスである。オリヴィアの金髪を最大限に美しく見せてくれる緑を選び抜いたものだった。

(これに袖を通す時には、陛下とそれなりに会話ができたあとだろうと思っていたのに……いえ、めげてはだめ)

 まさか、初めて顔を合わせたのに、あそこまで嫌われているとは。だが、すぐに気を取り直す。

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