お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 こんなところで、くじけている場合ではない。自分の役目について、今まで何度も自分に言い聞かせてきたではないか。

 オリヴィアの役目は、グレゴールと夫婦になり、イリアーヌ王国とストラナ王国の間に平和をもたらすこと。

「では、行ってくるわ」

 侍女達に言い残し、広間に足を踏み入れる。

 ダンスがないから、貴族達から挨拶を受けることになるだけだろう。

 グレゴールとは、寝室でゆっくり話そうと決めた。

 

 宴はオリヴィアの予想通り、貴族達からの挨拶を受けるだけとなった。

 オリヴィアに近づこうとする者、オリヴィアを値踏みする者。また、グレゴール同様最初から悪意をぶつけてくる者もいる。

(……陛下は、なにをお考えなのかしら)

 隣にちらりと目をやれば、グレゴールは不満を隠そうとはしない。

 まだ十五だからしかたない面もあるかもしれないが、ここでこんな形で不満を見せれば、どこで足をすくわれるかわからないのに。

「陛下、こちらの果物はいかがですか?」

「――いらん」

「お酒のお代わりをお願いしましょうか」

「――俺にかまうな」

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