お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「オリヴィア様がおとなしくしている限り、誰かがオリヴィア様を訪れることはないですよ。あの男は、オリヴィア様を放置すると決めているみたいですしね」

 あの男、というのはグレゴールのことだ。

 一週間顔を見ていないが、王妃としての最低限の扱いはするという話はどこに行ったのだろう。

「城下町の様子を見てみたいというのは、本当のところなのよね」

 この国に入った時、王都が栄えているのに驚いたものだ。国王とその異母弟が争いになったのだ。もっと荒れているだろうと思っていた。

 けれど、町を行きかう人々の表情に暗いところはなく、店先に並ぶ商品も種類が豊富なように見えた。

(もし、グレゴールの治世が安定しているのであれば、下手につつかない方がいいかもしれないし)

 オリヴィアが送り込まれたのは、グレゴールの立場を安定させるためだけではない。祖国にとっては、両国の間にいらない争いをもたらさないようにするため。

 もし、グレゴールが君主としてはふさわしい男であるのなら、オリヴィアが余計なことをしない方がいいのかもしれない。

「庶民の服も持ってきているしね。出てみましょう」

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