お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 オリヴィア達が留守にしている間に、誰かが離宮を訪れるということもないだろう。もし、誰かが来たら「三人で庭園を散歩していた」とかなんとか言っておけばいい。

 特に、外への道を知っているのはエリサだけなのだ。今回は、三人で行く選択肢しかなかった。

 離宮から少し離れたところに、外との行き来がしやすそうな場所があった。もしかすると、使用人の誰かが抜け道に使っているのかもしれない。灌木が、そこだけなぜか途切れている。

「ここから外に出て、十分も歩けば市場ですよ」

「食べるものはある?」

「ええ。パンに肉に野菜、それに、甘い焼き菓子もあります」

 エリサは外に出る度に、その市場でいろいろ買い物をしてきてくれていた。エリサお勧めの店に行ってみることにする。

「こんにちは、そのパンを三つくれますか」

「ああ、いいとも。ほら気を付けろよ」

 最初に立ち寄ったのは、パン屋である。太いソーセージをパン生地で巻いて、焼き上げたパンだ。片手で食べられるし、ソーセージの塩気とパンが合う。

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