お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「あらあら、こちらの金貨、イリアーヌ通貨だけれど。この国では、私の国の金貨が使われているのかしら?」
「いえ、それは……」
「だめよ、侍女長。この金貨も、私の持参金――ここ、目印がついているでしょう?」
テーブルの上に投げ出された大金貨。金貨には、赤いインクで印がつけられていた。このインクは、ちょっとやそっとでは落ちない特別製のもの。
「この印は、お父様が私のために作ってくださった印なの」
炎を模した印は、日の魔術を得意とするオリヴィアのものだ。ウェーゼルク伯爵家では、オリヴィアの持ち物には、この印をつけることも多い。
「そ、それは……」
「エリサ」
侍女長の言い訳には耳も貸さず、背後にいるエリサの名を呼ぶ。エリサの方も心得たもので、すぐに口を開いた。
「侍女長は、昨日は朝六時に起床、朝食を食べたあとは商人と面会。こちらの宝石箱の中にある、エメラルドの指輪を購入いたしました。その時の支払いに使ったのは、ストラナ王国の金貨です」
「なっ、なっ……」
「いえ、それは……」
「だめよ、侍女長。この金貨も、私の持参金――ここ、目印がついているでしょう?」
テーブルの上に投げ出された大金貨。金貨には、赤いインクで印がつけられていた。このインクは、ちょっとやそっとでは落ちない特別製のもの。
「この印は、お父様が私のために作ってくださった印なの」
炎を模した印は、日の魔術を得意とするオリヴィアのものだ。ウェーゼルク伯爵家では、オリヴィアの持ち物には、この印をつけることも多い。
「そ、それは……」
「エリサ」
侍女長の言い訳には耳も貸さず、背後にいるエリサの名を呼ぶ。エリサの方も心得たもので、すぐに口を開いた。
「侍女長は、昨日は朝六時に起床、朝食を食べたあとは商人と面会。こちらの宝石箱の中にある、エメラルドの指輪を購入いたしました。その時の支払いに使ったのは、ストラナ王国の金貨です」
「なっ、なっ……」