恋人になるまで、あと1秒。
「……付き合って」
彼の耳元で、囁いた。
顔を見なければ大丈夫だろうと思ってそうしたけれど、逆効果だったかもしれない。
心臓が動きすぎて、痛い。
彼の反応も怖いし、私は彼から離れて顔が上げられない。
「……夢?」
「違うよ!」
勇気を振り絞ったのに、彼にそんなふうに言われて、私は慌てて否定した。
視線の先の彼は、左耳に触れながら、顔を赤くしている。
夕焼けのせいだと言うには無理のある赤さ。
これって、もしかして。
まだなにも言われていないのに、変に期待していると、今度は彼のほうが近付いてきた。
「俺の彼女になってくれるの?」
彼の甘い声に、私は尻もちをついた。
想像以上の反撃に、嬉しいような、悔しいような、複雑な気持ちだ。
彼が笑っているから、余計に。
「ほら」
差し伸べられた彼の右手に左手を重ねる。
彼の大きな手に包まれ、そのまま私は引っ張られた。
「それで、返事は?」
「……頑張る」
私は彼の手を握り返す。
私の返事を聞いて、彼はクスッと笑う。
「なんだよ、それ」
頭が真っ白になって上手く答えられなかっただけだと言い返したかったけど、もう、そんなことはどうでもよかった。
告白は少しだけ上手くできなかったけど、でもきっと、いつか笑い話にできるよね。
それまでは、この時間は私と彼の、ナイショの時間だ。
彼の耳元で、囁いた。
顔を見なければ大丈夫だろうと思ってそうしたけれど、逆効果だったかもしれない。
心臓が動きすぎて、痛い。
彼の反応も怖いし、私は彼から離れて顔が上げられない。
「……夢?」
「違うよ!」
勇気を振り絞ったのに、彼にそんなふうに言われて、私は慌てて否定した。
視線の先の彼は、左耳に触れながら、顔を赤くしている。
夕焼けのせいだと言うには無理のある赤さ。
これって、もしかして。
まだなにも言われていないのに、変に期待していると、今度は彼のほうが近付いてきた。
「俺の彼女になってくれるの?」
彼の甘い声に、私は尻もちをついた。
想像以上の反撃に、嬉しいような、悔しいような、複雑な気持ちだ。
彼が笑っているから、余計に。
「ほら」
差し伸べられた彼の右手に左手を重ねる。
彼の大きな手に包まれ、そのまま私は引っ張られた。
「それで、返事は?」
「……頑張る」
私は彼の手を握り返す。
私の返事を聞いて、彼はクスッと笑う。
「なんだよ、それ」
頭が真っ白になって上手く答えられなかっただけだと言い返したかったけど、もう、そんなことはどうでもよかった。
告白は少しだけ上手くできなかったけど、でもきっと、いつか笑い話にできるよね。
それまでは、この時間は私と彼の、ナイショの時間だ。