2度目の人生で君と最初で最後の恋をする
この瞬間、私は坂口七桜ではなく、早川葵杏《はやかわききょう》になってしまった。

-ああ、どうしてこんなことになっちゃったんだろう。ここがどこかも分からないし、自分が誰なのかも分からない。-

そんなことを考えるのにも疲れてきて、ベッドの横の棚にあるテレビのリモコンを手に取り電源を入れ、たまたま出てきたニュースをベッドに寝転んだままぼーっと眺める。

ニュースの内容なんて全く聞いていなかったけど、アナウンサーの「速報が入りました。」という一言に私はテレビに釘付けになった。

「速報です。先日発生した首都直下型地震での行方不明者が新たに1人発見されました。発見されたのは『坂口七桜』さん、高校2年生です。坂口さんの両親は未だ見つかっておらず、地震発生時、両親と坂口さんは別々の場所にいたとみて引き続き捜索を進める予定です。」

ざあっと血の気が引いていくのを感じた。

私、死んだの?

お父さんとお母さんも見つかってないの?

まだ混乱する頭でもう一度、自分の置かれている状況について考えてみる。

まず大前提として、前の私『坂口七桜』は死んだ。先日の首都直下型地震によって。

死んだと思っていたのに、気付いたら私は病院にいた。

助かったのかと思ったけど、私は私ではなくなっていた今の私








< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop