何度だって君を見つける
行くしかないそう思った時ちょうどあの人が向こうからやって来た。友達も一緒にいるけど気にしない。早く言って教室に戻ろう。
「あの!この前の土曜日に助けてもらったお礼を良いに来ました。あの日は本当にありがとうございました。一緒にいた人にも伝えてください。」
言いたいことが次から次に出てきて口をもごもごさせる俺に君は初めてあの笑顔を見せてくれた。「先輩達のおかげです。本当にありがとうございました。」



「天音」

はっとして先輩の顔を見ると先輩の方もびっくりしたような顔をしていた。そしてくしゃっとした笑みに戻って
「先輩って呼ばれるの慣れてないから天音って呼んでほしい」
照れたように笑う天音がとても可愛くてつい、
「俺のこと律って呼んでくれるんだったら先輩のこと天音って呼びます」
挑戦的な言葉を返してしまった。やってしまったと思った時
「律が元気になってて安心した。今度から体調管理しっかりしなよー」
なんてことのないようにさらっと言える天音はずるい人だ。
「たった一回だけなんでそんなに心配する必要ないっすよ天音先輩」
だから俺だってなんてことのないように言ってやる。
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