聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 身をよじって逃れようとするが、ガッチリ抑え込まれて逃げられない。

 彼の舌が侵入し、彼女のそれをとらえる。
 激しく彼女を翻弄する。彼女はどうしたらいいのかわからず、されるがままになっていた。
 熱く情熱的な口づけ。

 だが、深いキスが初めての三千花には恐怖だった。
 よく、嫌いな相手にキスをされて舌を噛むなんて描写があるが、彼女にはそれもまた怖い。そんなことがてきるなんて、どれほどの嫌悪と憎悪があればできるのか。

 ようやく離れた王子様は熱く潤んだ瞳で彼女を見つめていた。その真剣な眼差し。
 思いがけず、胸が高鳴る。
 王子様は彼女をまた抱きしめた。彼の体温が伝わる。なんだか懐かしさすら感じる。

 自分の意志に反して心臓がドキドキしている。こんなの、ありえない。
 早くどいて。
 彼女は祈った。

 彼は最後に彼女の頬に軽くキスをしてから離れた。



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