聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 博物館から帰ったあと、アルウィードは自身の違和感に気がついた。
 私室に戻る途中でふいに立ち止まって、自分の手を見る。三千花とつないだその手を。

「いかがされました?」
 リグロットが聞く。

「いや……何でもない」
 確証がないことだった。
 だが、もしかして……。

「それにしても殿下の回復がお早くてよろしゅうございました」
「そうだな」

 早すぎる気がする、と思う。
 が、何も確信に至る材料はない。
 気のせいだ、と頭を振った。

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