聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 三千花は久しぶりに家に帰った。
 二階建ての我が家。一階には両親の部屋が、二階には自分の部屋がある。

 鍵を開け、真っ暗な家の中に、そーっと入る。
 両親は寝ている様子だったから、起こしたくなかった。

 シャワーを浴びて、部屋に戻る。
 部屋は最後に三千花が出ていったときのままだった。

「心配かけたよね……」
 一人娘の彼女がいなくなって、どれだけ心を痛めただろう。

 今すぐ戻ったことを伝えたほうがいいのか迷う。そのまま時間だけが過ぎる。神殿での襲撃者やファリエルタのことが頭から離れない。何をどこまで説明したらいいのか。

「明日にしよう」
 三千花はすべてを追いやるようにして横になった。
 結局、ろくに眠れないまま、朝を迎えた。


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