聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
朝、母が起きる気配を察して三千花は階下に降りた。台所の母の背に声をかける。
「おはよう」
なんと言っていいかわからず、普通に挨拶をする。
「おはよう、早いわね」
母はそう答えてから、驚いたように振り返った。
「三千花!」
「ただいま」
ぎこちない笑顔で、三千花は言った。
「三千花! お父さん、三千花が!」
母の声に、ゆっくりと父が現れた。
「三千花がなんだって?」
あくびをしながらパジャマで父が現れる。
「三千花!」
彼女の姿を見て、父もまた驚いた。
「今までどこに!」
なんと言っていいのか、わからない。
「とりあえず、お母さんのごはんが食べたい」
三千花が言うと、母は泣きながらうなずいた。