聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
気がつくと、三千花はいつかの庭にまた立っていた。違うのは昼間であること、刑事がくっついて来たこと。
「なんだここ」
蓮月が愕然とつぶやく。
「お前はなんだ」
アルウィードがイライラと蓮月に言った。
「警察のものです」
蓮月は警察手帳を出し、所属を告げる。
「ケイサツ? 何を言っている?」
言葉は通じているようだが、意味が通じてないようだ。
「日本の警察官よ。犯罪者を捕まえたりする」
「そいつが、なぜ三千花のところに?」
「鈴里さん、この人は?」
同時に質問される。
三千花はため息をついた。
「何から、誰に説明したらいいのか」
「こいつへの説明なぞどうでもいい」
アルウィードが手をかざすと、どこからともなく現れた縄が蓮月を縛った。
「なんだこれ!」
「明日には送り返す。それでいいだろう」
「どういうことだ、説明しろ!」
蓮月が叫ぶ。
「うるさい」
アルウィードが手をふると、蓮月の口は布で塞がれた。猿ぐつわを噛まされたように。
「乱暴すぎ」
三千花が抗議すると、アルウィードは三千花に鋭い目を向けた。
「どれだけ心配したと思ってる!」
こちらにきて初めて、三千花は怒鳴りつけられた。
「あんな置き手紙で納得できると思うのか!」
「だって……」
「君はいなくなるし神殿では何人も殺されている。何があった?」
「この人は無関係よ。縄をほどいてあげて」
「拒否する」
三千花はムッとした。
そうだ、今は魔法を使えるんだ。