聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 そもそもここはどこなんだろう。
 誘拐、監禁されたわりには豪華な部屋に連れてこられた。
 ここで寝ろ、ということなのだろうが、こんな状況で寝られるわけがない。

 少しでも眠った方がいいのかもしれないけど……。
 考えても解決につながるような名案は浮かばない。

 居間に行ってみる。
 扉は三つ。寝室につながるもの。廊下に繋がっているもの。もう一つは不明。隣室に女性の部屋があると言っていたから、そうなのかもしれない。
 とにかく、外につながる扉はすべてみはられていると見ていいだろう。

 ため息をついて、三千花は寝室に戻る。
 やみくもに動く気にはなれない。

 豪華な窓が目に入る。上部がアーチ状になっていて、実際に開くのは下の四角の部分だけだった。左右ではなく上下に動かして開閉する窓だった。


 窓を開けてみた。
 地上から高く、二階ほどの高さがあった。
 外は暗いが、広々と庭が広がっているのがわかった。民家も外灯も見えない。
 近所にはない景色だ。


< 15 / 317 >

この作品をシェア

pagetop