聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
嗚咽をもらす三千花を、蓮月たちは小会議室に連れて行った。
席に座らせ、蓮月たちはいったん廊下に出る。
「事件関係者との恋愛はご法度よ」
優梨は白い目を蓮月に向ける。
「そんなんじゃない」
蓮月は否定するが、優梨は疑うように目を細める。
「かわいい子じゃない。朝帰りの相手?」
「違う」
朝帰りの原因ではあるのだが。
「ま、恋愛は自由だし止められないけど」
「だから違うって」
蓮月は優梨の思い込みにイラついた。
「署内で泣く人がいるのは初めてのことでもないのに、なんでこんなに誤解されるんだ」
「日頃の行いでしょ」
「俺がモテないの知ってるくせに」
蓮月は頭をガシガシかいた。
「事件の鍵を握っているかもしれないんだ」
優梨は眉を寄せる。
「本当なの?」
蓮月はうなずいた。
そのとき、ガチャッとドアが開いた。
「わあっ!」
蓮月はビクッと驚いた。蓮月の反応に優梨が驚いてビクッとする。
現れたのは三千花だった。
「すみません、私急いでるんです」
そう言う彼女の涙はまだ乾いていない。
「話を聞くわ」
優梨が答える。
「……刑事さんと二人で話したいのですけど」
三千花が言う。優梨はまた蓮月を胡乱な目で見た。
「だから違うって!」
三千花は彼の否定の意味がわからず、首をかしげた。