聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
* * *
家に帰ると母親が心配して出てきた。が、三千花は疲れているからと事情を話さず部屋に戻った。取り繕う気力などなかった。
寝る準備をしてから、外が気になって窓を開けた。
黒猫が来て何か情報をくれたりしないか、そんな期待を抱いてしまう。
が、何も現れない。
空は曇っていて、星は見えない。
初めて連れられて行った庭から見た星は見事だったなあ、とため息をついた。
何も起こらないことを確認して、三千花は窓を閉め、カーテンも閉め、ベッドに入った。
こんな気分ではとうてい眠れそうにないのだが。
突然、首からペンダントが滑り落ちた。
見ると、チェーンが切れていた。
壊れた。
どうしよう。
よくわからないままにずっと大切にしてきたペンダントだった。
手にとってみると、チェーンが切れただけではなく、トップの石が割れていた。
直後、めまいが彼女を襲う。
「何、これ」
ぐらぐらする。
とにかくも彼女はベッドに横になった。そのまま眠るように意識を失った。