聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「ダメだよ。――ああ、なんだか朦朧としてきた」
 苦しそうに肩で息をしている。

「三千花!」
 アルウィードが駆け寄ろうとして、レオルークに魔力で倒される。

 だが、集中ができないらしくて押さえる力が弱まっている。

 三千花はじりじりと進んだ。
 アルウィードも()うようにして手を伸ばす。

「カウントダウしてあげるから、きちんと見てね」
 レオルークは二人を見てくすくす笑う。

「ご」
 三千花とアルウィードはその間も進む。
「……よん」
 レオルークがふらついて倒れる。
 その目は二人を見つめている。
「さん」
 三千花の体が軽くなった。
 彼女は瞬時に立ち上がる。
 レオルークはよろよろと指を上げる。
「に」
 三千花はダッシュして手を伸ばす。
 アルウィードはなんとか片膝をついて手を伸ばす。
「いち」
 三千花は彼の手をとった。
 温かさが手に伝わる。
「ゼロ!」
 瞬間、爆発の閃光が目を灼いた。

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