聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜

「な、何を!」
 彼女がもがくと男はすぐに離れた。
 男はそのまま彼女の左手を掴む。

「君に(しるし)つけた。また迎えにくる」
 イケメンは彼女を見つめてそう言った。

 どういうこと!? ていうか変質者!!
 三千花は口をパクパクさせた。驚きすぎて声が出ない。

 男はハッとしたように振り向く。
 別の男が彼に剣のようなものを振り下ろす。
 イケメンはそれを自身の剣で受ける。

「お前ごときに!」
 イケメンは叫び、男に手を向ける。
 なぜか男がふっとんだ。

 眼の前で何が起きているのかわからず、呆然とする。
 ふっとんだ男は急に逃げていく。

「まだほかにもいるな」
 言って、イケメンは走っていく。

 何かのイベントだろうか。
 いや、それにしても。

 呆然としていると、通路にいたおっさんと目があった。小汚いデブのおっさんはニヤニヤとこちらを見ている。

 半裸であることを思い出し、慌ててカーテンを締める。

 見られた、見られた、見られた!
 恥ずかしい!
 彼女は座り込んで頭を抱えた。

「お客様、大丈夫ですか?」
 店員が声をかけてくる。
 大丈夫、としか返事ができなかった。


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