聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「いきなりね」
「いきなり来たのはそっちだし」
三千花は思った。が、口から出ていたらしく、ロレッティアの目尻がさらに釣り上がる。
「聖母になる女性は、本来なら第一王子の妻になるはずなのよ」
きつい口調で言われる。
そうか! と三千花は悟る。
婚約者を取られると思って、取るなと言いにきたわけか。そんなつもりはまったくないのに。
「何か誤解があるようです。私は聖母と思われていますが、間違いです。私は帰りたいんです」
「だったら早くお帰りなさいな」
殺しそうな目で言われ、三千花はたじろぐ。
「か、帰れるのなら帰ってます」
そこへ、またドアがノックされた。
エミュリーが慌てて対応に出る。
「ア、アルウィード殿下がお越しです」
エミュリーが告げると同時にアルウィードが入ってきた。
ロレッティアはスクッと立ち上がるとカーテシーをした。
「ご婚約者殿がなぜこちらに」
アルウィードが驚く。
そうだ! と三千花は思いつく。
ロレッティアが婚約破棄を恐れているなら、自分がアルウィードと仲のいいフリをしたら安心するのでは。
三千花はササッと彼の横に立つ。
仲がいいふりなら手をつなぐ? いやいや、そんなことしたらアルウィードが何をし始めるか。
一瞬迷ったあと、彼の袖を少しつまんだ。
ロレッティアの顔が険しくなった。
予想外の表情に、三千花は内心で首を傾げる。
「三千花……」
アルウィードは驚いたようにつぶやいた。三千花の腰を抱き、うれしそうに笑顔を向ける。
うへえ、と思うものの、彼女はひきつりながら笑顔を返した。
「いきなり来たのはそっちだし」
三千花は思った。が、口から出ていたらしく、ロレッティアの目尻がさらに釣り上がる。
「聖母になる女性は、本来なら第一王子の妻になるはずなのよ」
きつい口調で言われる。
そうか! と三千花は悟る。
婚約者を取られると思って、取るなと言いにきたわけか。そんなつもりはまったくないのに。
「何か誤解があるようです。私は聖母と思われていますが、間違いです。私は帰りたいんです」
「だったら早くお帰りなさいな」
殺しそうな目で言われ、三千花はたじろぐ。
「か、帰れるのなら帰ってます」
そこへ、またドアがノックされた。
エミュリーが慌てて対応に出る。
「ア、アルウィード殿下がお越しです」
エミュリーが告げると同時にアルウィードが入ってきた。
ロレッティアはスクッと立ち上がるとカーテシーをした。
「ご婚約者殿がなぜこちらに」
アルウィードが驚く。
そうだ! と三千花は思いつく。
ロレッティアが婚約破棄を恐れているなら、自分がアルウィードと仲のいいフリをしたら安心するのでは。
三千花はササッと彼の横に立つ。
仲がいいふりなら手をつなぐ? いやいや、そんなことしたらアルウィードが何をし始めるか。
一瞬迷ったあと、彼の袖を少しつまんだ。
ロレッティアの顔が険しくなった。
予想外の表情に、三千花は内心で首を傾げる。
「三千花……」
アルウィードは驚いたようにつぶやいた。三千花の腰を抱き、うれしそうに笑顔を向ける。
うへえ、と思うものの、彼女はひきつりながら笑顔を返した。