聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「もう御用はすみましたわ。失礼いたします」
ロレッティアは顔を伏せて退室した。
三千花はすぐさまアルウィードから離れる。
「何か用?」
「冷たいな。疲れを労いに来たのだが」
アルウィードが合図する。と、エミュリーが扉を開けた。
待機していた人たちがワゴンとお茶のセットを運び込む。
甘い香りが三千花の鼻腔をくすぐった。
ワゴンには金枠のケーキスタンドに白い皿が載せられ、サンドイッチやスコーン、タルト、ケーキが盛り付けられている。
白地に金で縁取られた茶器も三千花の心をときめかせた。控えめなワンポイントの花柄がまたちょうど良いアクセントになっていた。
「素敵……」
三千花の乙女心が刺激され、うっとりと眺める。
ワゴン自体がロココ調で、それもまた彼女をときめかせた。
視線を感じてそちらを見ると、アルウィードの慈愛に満ちた笑みがあった。
恥ずかしさでパッと顔を伏せる。妙に鼓動が早くなって落ち着かない。
わ、なんだこれ。
落ち着け自分、と心の中で唱えるが、そんな簡単に落ち着くわけがない。
「お茶にしましょう、聖母の姫君」
スッと手を取られ、導かれる。
三千花は抵抗できなかった。
お菓子、お菓子が食べたいだけだから!
自分に言い訳した。
実際に、おいしそうなお菓子の誘惑が彼女を捉えて離さない。
「三千花の好きなチョコチップクッキーも用意してある」
彼女は首をかしげた。なぜ自分の好きなものを知っているのか。だが、甘いもの好きな人でチョコチップクッキーを嫌いな人はいないだろう、と思い直す。
「そうだ、彼女も一緒に」
「え!?」
思いがけない提案に、エミュリーが思わず声を上げる。
「気になってたの。ずっとそばにいて、ちっとも休憩できてないじゃない。一緒に休憩しましょう。いいでしょ?」
アルウィードに確認する。
「もちろん」
アルウィードはエミュリーに笑顔を向けた。
ポカン、とその顔に見とれたあと、慌ててエミュリーは言った。
「光栄でございます」
こうして、お茶の時間が始まった。
エミュリーはずっとアルウィードに見とれていた。
ロレッティアは顔を伏せて退室した。
三千花はすぐさまアルウィードから離れる。
「何か用?」
「冷たいな。疲れを労いに来たのだが」
アルウィードが合図する。と、エミュリーが扉を開けた。
待機していた人たちがワゴンとお茶のセットを運び込む。
甘い香りが三千花の鼻腔をくすぐった。
ワゴンには金枠のケーキスタンドに白い皿が載せられ、サンドイッチやスコーン、タルト、ケーキが盛り付けられている。
白地に金で縁取られた茶器も三千花の心をときめかせた。控えめなワンポイントの花柄がまたちょうど良いアクセントになっていた。
「素敵……」
三千花の乙女心が刺激され、うっとりと眺める。
ワゴン自体がロココ調で、それもまた彼女をときめかせた。
視線を感じてそちらを見ると、アルウィードの慈愛に満ちた笑みがあった。
恥ずかしさでパッと顔を伏せる。妙に鼓動が早くなって落ち着かない。
わ、なんだこれ。
落ち着け自分、と心の中で唱えるが、そんな簡単に落ち着くわけがない。
「お茶にしましょう、聖母の姫君」
スッと手を取られ、導かれる。
三千花は抵抗できなかった。
お菓子、お菓子が食べたいだけだから!
自分に言い訳した。
実際に、おいしそうなお菓子の誘惑が彼女を捉えて離さない。
「三千花の好きなチョコチップクッキーも用意してある」
彼女は首をかしげた。なぜ自分の好きなものを知っているのか。だが、甘いもの好きな人でチョコチップクッキーを嫌いな人はいないだろう、と思い直す。
「そうだ、彼女も一緒に」
「え!?」
思いがけない提案に、エミュリーが思わず声を上げる。
「気になってたの。ずっとそばにいて、ちっとも休憩できてないじゃない。一緒に休憩しましょう。いいでしょ?」
アルウィードに確認する。
「もちろん」
アルウィードはエミュリーに笑顔を向けた。
ポカン、とその顔に見とれたあと、慌ててエミュリーは言った。
「光栄でございます」
こうして、お茶の時間が始まった。
エミュリーはずっとアルウィードに見とれていた。